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日本の「はたらく」を支えるウェアが、 世界の「はたらく」を支える

2019.04.20

lid研究所が手掛けるswitch wearは、プロジェクトに共感頂いた団体様とチームを作りワークウェアの研究、開発をすすめています。今回はそのプロジェクトメンバーであり、PEACE BY PEACE COTTON PROJECT(以下、PBPとする)の活動をおこなっているPBP財団の理事 徳重正恵さんにお話を伺いました。

未来のこどもたちに残す大切な大地を守り、農家さんが健康になっていけるように。

PBP財団では、インド産オーガニックコットンを使用した製品に基金をつけて販売し、その基金を活用してインドの綿農家の有機農法への転換支援と、綿農家のこどもたちの就学・復学・奨学支援を行っています。もともとインドの多くの綿農家は、コットンを育てるために大量の農薬を使用してきました。そのため農作業をしている農家たちの健康被害が多かっただけでなく、農薬を購入するために借金をする必要があり、苦しい生活を強いられる状況にありました。そして、生活苦と労働力の確保のためたくさんのこどもたちが学校に行けずに働いているという問題もありました。大量の農薬と化学肥料によって疲弊していく大地を守り、農家やその子供たちの現状を何とか解決できないかとPBP プロジェクトが発足。その活動をより社会に広げていくために財団を設立いたしました。
※PBP財団の活動についてくわしくはこちら。http://pbpcotton.org/

 日本ではひとつの洋服ができあがるまで、どのような工程が行われているかあまり知られていません。コットンが植物であることさえも知らない人もいます。自分たちが着ている服も、コットンかウールか、化学繊維なのかを気にすることはあってもどのように作られているかまでは気にしたことがない方も多いはず。農薬まみれの野菜は食べないけれど、農薬まみれのコットンは気にしない。ずっとお洋服をつくってきた私も正直、実際にコットンを育てている農家さんとお話するまで綿製品の背景を気にしないですごしてきました。コットンを農作物として育ててくれている人がいて、その生産者さんがとてつもなく被害を被っている現実を知ってもらい、その状況をみんなで改善し、好循環にしていきたいというのがPBP財団の想いです。

安心できる環境が、子どもたちの将来の夢につながる

プロジェクトが動き出して、インドの綿農家の環境に変化が訪れました。農薬による健康被害や土壌汚染が減少し、農薬や化学肥料を購入するための借金から解放されることで安心が増え、子どもたちも学校に通うことが可能に。有機農法への転換を専門家が支援することで収穫量も増加しました。2018年3月時点で、総基金額は1億円を超え、有機農法に転換した農家は13000世帯以上。また子どもたちは就学・復学をしたり、高等教育にまで進むことができるようになりました。「学校の先生になりたい、お医者さんになりたいと夢を語る子どもたちの姿を目にした時は、本当に感動しました」。インドの子どもたちの将来の選択肢が広がりつつあります。

毎日着るワークウェアが、世界の家族を支える未来に。

今回lid研究所さんとswitch wearに関わることになったのは、カタログから既製品を選ぶことの多いはたらく服を、お客様によりそいオーダーメイドで作っていくというコンセプトに共感したためです。さらにはその素材が、綿をつくるために働いている綿農家を支援できるPBPコットンの素素材を使うことで、服が作られていく背景も知ってもらい、毎日ワークウェアを着る度に誇りをもってもらえると感じられたこと。switch wearは世の中の多くの「はたらく」を快適に楽しくさせるだけでなく、5年、10年先の世界の農家のはたらく環境も変えられる。とても素敵な未来へとつながるプロジェクトになるのではと考えました。オーガニックコットンでつくることができるワークウエアの可能性を探ることと、私たち財団の想いを知ってもらえる機会が増えることは、日本とインドの綿農家をつなぐ一つの架け橋になると希望を感じています。