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switch wearでつながる想い|藍染め職人 二上拓真さん

2020.03.30

いろんな街で、いろんな姿で、いろんな人と、はたらく人がいて、さまざまなはたらき方があり、「自分らしくはたらく」をめざす人がたくさんいます。その中で、switch wearを通して出会った、自分らしくはたらく人の想いに触れていきます。

switch wearをきっかけに出会った藍染め職人 二上さんに、今年50周年を迎える日建ハウジングシステムの記念旗の藍染を依頼。旗製作をきっかけに、二上さんの活動について話をうかがいました。

藍染めとの出会い

二上さんの仕事場は50年以上続く「綾の手紬染織工房」で、世界も認める美しい森をもつ宮崎県綾町にあります。この工房では、「染、織、蚕」養蚕から織りまでの工程を手作業、染は主に草木染を行っています。

幼少時を工房の隣町で過ごし、東京の大学へ。大学卒業に際し、「就活が苦手で、酒を造る杜氏など職人に憧れがあった」という二上さんは綾の手紬染織工房の主宰の秋山さんの人柄に惹かれ、この工房で働くことを決めました。実は、藍染は子供の頃から知っていましたが、職人になりたいと明確に思っていなかったと。決断後、秋山さんとともに藍との関係を新たに築く日々が始まりました。

そして工房で働き5年目、現場の工程を一通り経験した後に、藍の管理を任され、藍染めや養蚕などを担当しています。最近では藍染などの伝統工芸や工房について考えるようになり、SNSで異業種との繋がりを探していますと二上さん。

switch wearがつないだもの

今回の依頼のきっかけとなったswitch wearと二上さんとの出会いは、大学時代の同級生からの依頼でした。

その依頼は、日建ハウジングシステムで製作したswitch wearを着て、働く姿をSNSで発信することでした。すると二上さんはインスタグラムをはじめ、テレビ取材時に着用し話題に。(100人の使用シーンを参照ください)また、二上さんはswitch wearについて、工房や畑で着用すると、ウエアの白が桑の葉の緑や藍染めの青に映えてより際立つと。
これがきっかけとなり、日建ハウジングシステム記念旗の藍染を二上さんへ依頼することに。二上さんにとって旗の染色の依頼は初めてで、「作業の時は大変緊張しました。しかし自分の仕事を実際に見てもらえる機会を頂けて大変嬉しくて。特に学生時代に一緒に学んでいた仲間からの依頼は、「どんなエールより喜びを感じます」と笑顔で語ります。

難しいことは楽しい

旗の製作でこだわった点は、「色合い」です。藍は色が大切で、藍の体調が悪いと染まりが悪くなります。特に意識したのは、単色で仕上げること。色の濃淡を少なく、ムラがないようにこだわりました。そのため作業時間は重要です。藍は時間と共に、色や染まり方が変化します。1日ごとに色も染まり方も微妙に違うため、旗を染めるタイミングと作業の段取りは気を使いました。今回の藍染めする旗は2枚で、濃すぎず、薄すぎない色で染めることにしました。色むらについては、1点ものとしてそれぞれの良さを評価することもありますが、今回は2つの旗を同じ色に染めることにこだわりました。また、ロゴで色を抜く作業は、俊敏な作業が必要で難しかったです。専用の柿渋の型紙を用いて手彫りし、ロゴの位置をきめるポジション作業も手作業で、水平をおくことにかなり気を使い、緊張しました。文字の型紙を作るのははじめての経験で、大変緊張しました。特に「&」は難しかったです。でも、難しいことに取り組むのは楽しいので大好きですと笑顔で語られたのが印象的でした。

伝えたい藍の魅力

藍の魅力とは、今回の旗染めでもこだわった「色 」にあります。染めたものを太陽にあてると大変美しい。インディゴブルーである藍は世界中にありますが、色も染料の構成も異なります。宮崎の藍染料の特徴は焼酎で発酵させ、おおらかに育てることで、鮮やかな藍色に染まります。藍の染料は、人が体調で動きが変わるのと同じように、藍の調子により染まり方が異なります。若い染料は色が濃く、年を重ねることで色が薄くなります。だから藍について、色や染まり方の違いを見極めながら、藍と会話しながら、どうすれば美しく染められるか、きれいな藍色することを考えているといいます。その二上さんが体調を崩すと判断が鈍るため、管理が行き届かない日が続くと染料がダメになることもあるというから驚きです。二上さんと藍の関係は、健康まで影響するほど、深いものです。だからこそ、藍の魅力をみんなに伝えたい思いが強くなります。

伝統を自分らしく表現、そして伝承

 

二上さんは自身について「作り手であり、藍の管理人である、藍の価値の伝え、繋ぎ人でありたい」といいます。「価値のある伝統産業の良さを伝えて、いろんな人たちとつながり、伝統産業は伝承され、未来には新しいかたちになっているかもしれない。そんな可能性を実現するよう、活動しています。実際にSNSを通じて活動し、様々な業界の人とつながり、古民家とコラボ、木を藍染めなど新しいことに取り組んでいます。新しいことに取り組むのはワクワクしますから。伝統はつなぐ手によって伝承されるといいます。二上さんの自分らしい伝え方で、様々な活動を通して、藍染めの伝統産業の未来のため、かたち生み出し、伝えていく二上さんの今後の活動が楽しみです。

 

 

日建ハウジングシステムは50周年を迎えるあたり製作した記念旗には、これまで築き上げてきた先輩たちへの敬意と、50年培った文化と技術、経験、知識から新たな取り組み、持続できる魅力ある組織へ そして社会に貢献するという想いが込められています。

古き良き伝統産業を身近に伝え、社会に貢献するかたちを目指す二上さんの藍染めへの想いは、私たちが記念旗に込めた想いと通ずるところがあります。これからも共に成長し、協力し、お互いの分野で前進していきたいと思います。